お口の機能と健康の質の関係
お口で気にかけるべきことは虫歯だけではありません。生命の入り口となる「お口の機能」は全身へと影響を及ぼし、将来の健康寿命にも関わっています。
呼吸
人間本来の呼吸法は鼻呼吸です。現在は、柔らかい食事や口遊びの減少,マスクなど様々な要因からお口の機能がきちんと育たず、口呼吸になっているこどもが増えています。
口呼吸の弊害は口だけにとどまらず、以下のように全身や脳、精神面にまで影響を与えると言われています。
人間本来の呼吸である鼻呼吸は、鼻毛という防御機構や鼻を通して外気と体内の温度や湿度の調整を行うため、きれいにした空気を体内に取り込むことができます。
口呼吸だと空気をそのまま体内に取り入れるため、アレルギーや免疫力低下などを引き起こしやすくなります。扁桃腺の炎症も起こりやすく、質の良い睡眠が取れないことや、鼻呼吸に比べ脳への酸素供給量が減ることで集中力の低下なども引き起こすとされています。
免疫力低下
ウイルスや細菌を除去しきれず扁桃腺が炎症を起こす
アレルギー
慢性的な細菌感染や免疫異常により発症しやすくなる
集中力低下
鼻呼吸よりも呼吸が浅く、脳への酸素供給量が減る
うつ病
交感神経が優位になりストレスがかかりやすくなる
虫歯
口が乾燥し、唾液が少なくなることで唾液の効果が得られない
食べる(噛む・飲み込む)
成長にあった量や硬さの食事をよく噛んで食べることが顎の成長や口周りの筋肉の発達を促します。
また、噛むたびに脳へ血液が送られ刺激となるため脳の活性化にもつながります。
よく噛まずに食べる早食いや,ながら食べなどできちんと噛んで飲み込むという機能が正しく育たないことも、最近のこどもには多く見られる傾向です。食べる機能がうまく育たないと以下のような弊害が起こるとされています。
胃腸への負担
食物が細かく
砕かれず消化
しにくい
歯並び
顎の骨が成長せず、歯の生えるスペースが狭くなる
記憶力低下
脳への刺激が減ると海馬の神経細胞が減少、弱体化
栄養不足
噛みにくいものを避けるようになり、偏食の原因にも
誤嚥
うまくのみこめず、むせやすくなる
話す
話すことはコミュニケーション力、表現力、思考力につながっていきます。
発音は舌や唇の使い方、頬の筋肉や形態、歯並びによって変わります。正しい発音を習得しやすくするためには、骨・筋肉・歯そして舌の発達が重要になってきます。
乳幼児期や学齢期にお口の機能がうまく育たないと、将来むせやすくなったりうまく噛んだり飲んだり出来なくなるなど、お口の機能低下が早い段階で起こりやすくなります。お口の機能低下はフレイルの前兆とされており、健康寿命に大きく関わっています。
※フレイル・・・加齢により心身が衰えた状態